虫歯予防Dental caries prevention

虫歯予防は歯磨きだけではダメ?!
効果的に虫歯を予防する方法

虫歯予防は歯磨きだけではダメ?!効果的に虫歯を予防する方法

虫歯の予防といえば、まず歯磨きを思い浮かべる人 は多いことでしょう。
ところが最近は、通常の歯磨きだけでは完全に虫歯 を防ぐことができないことが分ってきました。
「毎日しっかり歯磨きをしています」という人の中にも、 磨き残しのある人は意外と多く、それが虫歯の原因 の一つとなっているのです。

虫歯は子供にできやすいのはもちろんですが、
大人の歯を失う原因としても歯周病よりも割合は高いという調査結果が出ています。
それでは、どうすれば虫歯を防ぐことはできるのでしょう?子供と大人の世代別の虫歯の特徴と、虫歯に ならないための予防法をご紹介します。

年代別に異なる虫歯の特徴

むし歯は歯垢の中に棲む虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が、糖を栄養分として取り込み、分解する際に 出した酸が歯を溶かすことでおこります。
ただし、一口にむし歯といっても発症する要因はいくつかあり、それは世代によって異なるようです。
子供と大人ではどのような違いがあるのか、まずは年代別のむし歯の特徴について比べてみましょう。

子供の虫歯の特徴

■ 子供の虫歯の特徴

乳歯は、妊娠期に石灰化が始まり1歳半から3歳までの間に、また、永久歯は 生後間もなく石灰化を始め、早い歯では9歳、遅くても15~16歳には完了し ます。石灰化が完了していない歯は柔らかいことから、子供は大人に比べて 虫歯になりやすいのです。

乳歯の虫歯の原因には、卒乳の遅れや寝かしつけの際の授乳やジュースな どを与えることにあります。また、歯磨き開始の時期やフッ化物配合歯磨剤 の使用開始時期の遅れも影響するため、注意が必要です。

それに対し永久歯の虫歯の原因となるのは、ジュースやお菓子など甘い飲食 物を好む上に、自分で歯磨きする際に磨き残しができることです。 特に、奥歯の溝の部分は、糖分の摂取量に関係なく虫歯ができやすいことか ら、歯ブラシが届きにくい部分に重点をおいた虫歯の予防が求められていま す。

大人の虫歯の特徴

■ 大人の虫歯の特徴

大人の9割以上が大なり小なり虫歯を抱えているといわれています。
大人のお口の病気といえば歯周病が代表的とはいえ、年をとるほど虫歯が 増えていくことから、歯の喪失を防ぐためにもしっかりとした虫歯対策が必 要なのです。

大人の虫歯の原因は子供とあまり変わりありませんが、虫歯ができる過程 には大人ならではの以下のような3つのポイントがあります。

1) 磨き残しによる虫歯

子供の虫歯と同じように奥歯の溝の部分のほか、歯と歯の間・歯と歯肉の境目・歯の 裏側のような、磨き残しの多い部分に虫歯ができやすくなります。

2) 歯周病による歯根の露出による虫歯

歯周病で歯肉が縮退すると、露出した歯根面に虫歯ができやすくなります。
通常の歯の表面を覆うエナメル質に比べて、歯根面を覆う象牙層は柔らかいことから
虫歯になりやすいのです。
この部分の虫歯は特に高齢者にできやすいといわれています。

3) 治療後のレジンやインレー(詰め物)の内側での虫歯

歯と詰め物の間にできた隙間から虫歯菌が侵入してできる虫歯です。
深い部分まで治療している歯ほど進行が早く、神経を抜いていることが発見を遅らせ る要因となります。

虫歯にならないために
必要な予防法とは?

虫歯ができる原因は、個人の歯の質にもよるところが大きいようですが、それ以外にも口の中の虫歯の 原因菌や食べ物も大きく関係してきます。これらの要因から、私たちの歯を守るためにはどうすればよい のか?ここでは効果的な3つの虫歯の予防法をご紹介します。

砂糖を含む食品の摂取頻度の制限

1) 砂糖を含む食品の摂取頻度の制限

砂糖を含む食品の摂取頻度の制限

虫歯菌が栄養分として糖を分解する際に出す 酸が、歯を溶かすことが虫歯の原因となります。 実はその際、私たちの唾液は、酸性になった口 の中を中性に近づけようとするほか、唾液に含 まれるカルシウムやリン酸で溶けた歯を再石
灰化し、修復してくれているのです。

このように、私たちのカラダには歯を虫歯から守る素晴らしいシステムがあるのですが、糖 を頻繁に摂取してしまうと、再石灰化のサイクルが間に合わずに、どんどん歯が溶け続けて 虫歯になってしまうのです。そのため、虫歯を防ぐためには、糖を含む食べ物を摂る頻度を 減らすことが必要とされます。

砂糖を含む食べ物をだらだらと食べ続けたり、ジュースやスポーツ飲料を飲み続けている と、常に口の中では酸が作りだされています。そうならないためにも、「デザートを食事の直 後に食べる」「間食は時間を空けて摂る」など、砂糖を含む食べ物の摂る頻度を抑えること で、虫歯ができにくい口内環境作りを心がけましょう。

フッ化物を利用した歯磨きによる

2) フッ化物を利用した歯磨きによる
セルフケア

フッ化物を利用した歯磨きによる

虫歯予防のためのセルフケアで最も重要とな るのが歯みがきです。ところが初めにご紹介 した通り、歯ブラシを使った通常の歯磨きで は、残念ながら完全に歯垢を取り除くことは できません。
セルフケアで虫歯を効果的に予防するためには、歯ブラシのほか以下のようなアイテムを 用いることをおすすめします。

■ デンタルフロス

歯ブラシでは届かない歯と歯の隙間の歯垢除去に有効なのが、糸状の歯間クリーナー 「デンタルフロス」です。細い糸なので、歯と歯の間から歯の根元のかけての、細かな部分 の汚れを除去することができます。

■ 歯間ブラシ

歯と歯の間の細かな部分の歯垢を除去するデンタルフロスに対して、歯間ブラシは歯と 歯の間が大きく空いている場合に使います。
狭い歯間で無理に使うと歯肉を痛める恐れがあることから、慎重なサイズ選びが求めら れます。

■ フッ化物の利用

フッ化物には、酸によって歯が溶ける「脱灰」の抑制や再石灰化の促進など、虫歯に対す る抵抗性を高める働きがあります。歯磨きの際にフッ化物による洗口を行ったり、フッ化物 配合の歯磨剤を使用することで虫歯の予防に効果があります。

シーラントやクリーニングによる

3) シーラントやクリーニングによる
プロフェッショナルケア

シーラントやクリーニングによる

セルフケアでは完全とはいえない虫歯予防を 補ってくれるのが、歯科医によるプロフェッショ ナルケアです。
専門的な口腔ケアにより、歯磨きの際の磨き
残し等による虫歯の進行を防ぎます。

■ シーラント

奥歯の磨き残しによる子供の虫歯を防ぐのがシーラントです。
奥歯の溝の部分をプラスチックでコーティングして虫歯を予防するほか、フッ素物により 再石灰化を促進します。

シーラントについては「小児歯科」で詳しく紹介しています。

■ クリーニング

普段の歯磨きでは落としきれない汚れを除去するのが、歯科医によるPMTC(Proffesio nal Mechanical Tooth Cleaning)です。
専用の器具を使ってクリーニングを行うので、歯の表面の着色汚れはもちろん、虫歯菌 の棲みかとなるバイオフィルムもスッキリ落としてくれます。

クリーニングについては「PMTC」で詳しく紹介しています。

■ アウスジェット

霧状のスプレーで薬液を直接、歯周ポケット内に浸透させるのがアウスジェットです。 虫歯の原因となる歯垢(プラーク)の除去や口臭を予防する効果があります。

アウスジェットについては「アウスジェット」で詳しく紹介しています。